安定期に入ってから、毎日とても眠くて、

朝お弁当を作って彼を送り出した後で昼くらいまで眠ってしまうことが多かったのだが、

最近それがひどくなり、

眠りこむ時間がどんどん長くなって、代わりに夜眠れなくなってきた。


ある日は朝の5時くらいまで眠れなくて、彼と一緒に寝坊した。お弁当作れなかったしコーヒーも入れてあげられなかった。

そのまま眠り込み、10時過ぎだったか・・・一度目が覚めた。

どうにもこうにもお腹が痛くて。

下腹部の、左側が、突っ張るように痛かった。

どう姿勢を変えても痛くて、仕方なく起き上がったが、目が覚めてちょうどよかったとも思った。

お手洗いに行き、小さいパンを2個食べたら、痛みは軽くなった。

膀胱と子宮が押し合っていて痛かったのか、お腹が空いていたのが遠因だったのか、長時間横になっていたのが良くなかったのか、なんかよくわからないけど。ネットで調べると、妊娠中期には靭帯が引っ張られて痛みが起こることもあるという記述もあった。

とにかく下腹部痛はひいたので「ふう、よかった」と思ったのだが、今度はなんだか気分が悪い。

肩こりのせいかもしれない(最近、肩こりもひどい)。もしくは、パンを食べたからか…。

気分の悪さに負けて、またふらふらとベッドに戻ってしまった。


二度目の目覚め。いやな夢ばかり見ていた気がする。へんな疲労感。

もうお昼だろうなー、と思う。

何か食べようか。あんまり食欲ないけど。

洗い物がたまっているから少しでも済ませて、それからスーパーに行こう・・・と考える。

そうだ洗濯はどうしようかな、と横になったまま窓の空を見上げた。

日の光が少し黄色い気がして、「ん?」と思った。西日…? いやな予感。

時計を見ると2時前だった。

驚き、睡眠時間を逆算して愕然とした。

寝すぎだ。これじゃまた夜眠れない。

「赤ちゃんが生まれたら長く眠れなくなるんだから、今のうちにたくさん寝ていいんだよ」と慰めてくれる友人もいるが、なんだか自己嫌悪…。



別の日の夜、彼が帰宅するなり、ちょっとケンカしてしまった。

わたしも彼も、それぞれの理由でいらだっていた。

彼にきつい言葉をぶつけられたわたしは、泣いて黙って外へ出た。


ひとりでぼんやりと歩いた。時間としては20~30分くらいだったと思う。

裏道を通って家を離れ、大通りを通って戻っていった。

完全に手ぶらだったし、仮に財布など持っていたとしても実家に帰るほどのことでもなく、結局二人の家に帰るしかないのは初めから承知していた。

歩くと少し気持ちが落ち着いた。

でもお腹はちょっと張ってしまった。

勝手なことをして心配をかけて、彼に余計怒られるだろうか……と少し思った。


家に戻る。部屋の明かりはついていたが、カギがかかっていた。

彼の自転車がない。

わたしを探しに出てしまって、行き違いになったのだ。

ばかなことをしてしまったと思った。


家の前で待っていたら、数分後に彼が戻ってきた。

上はワイシャツのままで、汗をかき、息を切らしていた。

わたしを見ると「どこ行ってたん?」と訊いた。わたしは泣きすぎて声が出なかった。

「とにかく中に入ろう?」と彼は言った。


イライラしててごめん、と彼が謝ってくれた。

本当は黙っていようと思ったんだけど、と言って、会社であった不愉快な出来事を話してくれた。

他の、最近悩んでいることとかも。

「サキにあたっちゃった。ごめんな…」

彼はこんな大変な思いをしているのに、くだらないことで煩わせてしまったと思い、余計に悲しくなった。

晩ごはんもまだだったし、彼は帰宅してからほとんど休憩していなかった。

わたしは泣いて、「ごめんね」と何度も言った。

寝すぎてしまったり、一生懸命やってるつもりでも家事がうまくいかなかったりして、

わたしもいらだっていたのだ。