三連休×2。

いろいろと盛りだくさん。


・彼とわたしと友人とわたしの妹とで、オクトーバーフェストへ行く。

オクトーバーフェストとは、簡単に言えば「ビールのお祭り」。

メーカーごとの出店でビールやソーセージやジャーマンポテトを買って、屋外のテントで飲み食いする。

ビールが好きな彼と友人は楽しんだ模様。

わたしは、まあ今飲めない身体なので、人のをもらって舐める程度。

それでも、蒸し暑い日だったので、おいしいと感じた。

妊婦は暑がりになるので余計にそうなのだろう。

そのあとはカラオケに行ったり居酒屋でご飯を食べたりした。

フェストからの移動中、妹が「タバコ大丈夫なの?」と気にしてくれた。

友人が、妊婦のわたしの前で普通にタバコを吸っていたのだった。

「まあ、男の人だからねえ・・・」と笑う。

吸ってもいいかと訊いてくれたらよかったのだが、何もなしで普通に吸い出したので、

わたしは何も言えなかったのだった。

妹は少し遅れて合流したので、自分が着く前に「タバコ吸っていいかどうか」のやりとりがあったのかもしれないと思って、とりあえず黙っていたそうだ。

あとで彼に「妹がタバコのこと気にしてくれてたよ」と言うと、

「うわ、俺、ぜんぜん気づいてなかった! ごめん!」とずいぶん焦っていた。

普段わたしの体調に気を配ってくれる彼ですらこうなんだもの、

男の人はやっぱりなかなか気づかないんだなあ、こういうこと。



・彼の実家へ。

名古屋に赴任中の彼のお父さんが戻ってきていたので、会いに。

お父さんの奥さんがわたしにいろいろ話をしてくれる。

奥さんは女の子を二人産んでいるが、どっちも異常分娩で、

その話はものすごく恐ろしかった。最初の出産時に「一回死んでる」らしいし。

奥さんとしゃべっているあいだに、彼の生みのママからもメールが…。

「体調はどう?性別わかった?」と。

二人の義母から同時に話しかけられている、と思うと、なんだかおかしかった。

メールに「男の子みたいです」と返すと、

「リュウヤのような男の子が生まれますように」ときた。

これ・・・どういうこと?(笑)


・彼の幼なじみたちと遊ぶ。

わたしとはもちろん結婚してからのつきあいになるが、みんなほんとうに穏やかな人たちで、

一緒に遊んでるうちに自然と仲良くなれた。全員ゲーマーだから…(笑)。

彼らとの遊び方はいつも、

ゲームする→小休止的にダベる→ゲームする→ごはん食べてダベる→ゲームする・・・みたいな感じ。

ゲームはモンハンだったりカードゲームだったりWiiだったりする。


・車を見に行った。

今の車がかなりの走行距離でガタがきていて、しかも2ドアだからこれから子が生まれるとチャイルドシートを載せにくいということで、買い替えを考えているのだ。

よさそうな車はいろいろある、しかし決して安くはない買い物。即決はできず、悩む。


・わたしの実家へ。

車を見に行った流れ。ごはんと梨とケーキをいただく。

父や母と話す彼は、もうすでに完全にうちに溶け込んでいるように見える。何の違和感もない。

人見知りの激しい妹も、彼に向っておどけてみせることすらある。すごい。


・彼のおばあちゃんに会いに行く。

畑をもっているので、いつも野菜を大量にもらってしまう。「そんなに食べきれない」と言っても無駄で(笑)、袋にどんどん入れられる。なす・じゃがいも・白菜・玉ねぎ(小屋の軒先に吊ってあった)・ピーマンなど。家の裏に回ると鶏小屋まであった。烏骨鶏とホロホロ鳥だそうだ。

仏壇に手を合わせ、一緒にごはんを食べ、おしゃべりするだけだが、

帰るときには「よう来てくれたな、おおきに」とおばあちゃんは必ず言う。

行くといつも野菜だけでなくいろいろなものを持たせてくれるのだが、

これにお返しするには、なるべく顔を見せにくるぐらいしかないのかなと思う。

ちなみにおばあちゃん、3人子どもがいるが、つわりは全然なかったそうだ。いいなあ。

近くに住んでいるおじさんも家に来ていて、カンボジア旅行の写真を見せてもらう。


・彼と、たくさんたくさん話し、遊ぶ。

車に乗っている時間がけっこうあったので、そのあいだ、いっぱいしゃべった。

なんだか、とても幸せ。

それに、わたしも最近モンハンを始めたので、ここ最近は毎晩のように彼とプレイしている。

モンハンとPSPは彼からの誕生日プレゼントだったのだが、

ある日モンハンの説明書を開いてみると、中から彼の手書きのメッセージカードが出てきた。

嬉しくて嬉しくて、ちょっと泣いてしまった。

6カ月の妊婦健診。

体重を測ったら、看護師さん(テキパキしてちょっとキツそうな感じの年配の女性だった)に「体重だいぶ増えてますけど?」と言われる。完全に責める口調だった。

びっくりして彼と顔を見合わせて黙っていると、

記録を確認したのか「ああ、最初にかなり減ってて、それが戻ったのね」と言われて終わった。

確かにこの1カ月で、つわりで減った分の残りを取り返し、なおかつ元の体重より増加していたので、合計でかなりのプラスになっていた。

もちろん、増えすぎると良くないということは知っているが……あんな言い方をされるのか。おっかない。

「増えてますけど?」と言われたら何か言い訳をしなきゃいけないのだろうか。それとも「すみません」とか謝らなきゃいけないのだろうか……。


4D撮影の無料券をもらっていて、6か月~8カ月がよいとあったので、今回使おうとしたのだが、

いまひとつうまく映らず、次に持ち越しになった。

でも初めて赤んぼの顔を見ることができた。当たり前だがまだ可愛くはない(笑)。

膀胱や肋骨もはっきりと見えて、元気そうだった。もう500gくらいあるらしい。

性別もわかった。男の子。

自分の中ではなぜかほとんど女の子のつもりでいたので、「え!?」と勝手に衝撃を受けてしまった。

でも夢に出てきたのは男の子だったな。そっちが正解だったんだ。

そうか、男の子か……。


そのとき少し考えたのは、

わたしは、なんというか、彼のことが好きすぎるので(笑)、

もし女の子が生まれたら、ふたりでパパを取り合ってたぶんライバルのようになるんじゃないか、

でも男の子だったら、わたしのこの重たい愛情を(笑)、

彼と息子に分散することができて、ちょうどいいんじゃないか――

ということだった。


彼はもともと女の子がいいと言っていたので(だいぶ前の話だが)、どうかなあと思ったのだが、

「男の子でも、よかった?」と訊くと、

「もちろん」とにっこり笑った。

「最初の子が女の子だったら、俺は甘やかしすぎるかも。だから男の子でよかった」と言う。

とにかくこれで名前を考えたりベビー用品を選んだりがしやすくなった。

名前は既に第一候補があるのだけど……まだ時間があるからもう少し考えよう。


検診の後には母乳に関するレクチャーがあった。

今のところ、完全母乳で行くつもり。なぜかわたし、「自分は母乳が潤沢に出るはず」という根拠のない自信がある(笑)。

乳房マッサージを教わった。

最初は看護師さんにやってもらうのだが(さっきの人ではなく、若くてふくよかな明るい女性だった)、

痛いと話に聞いていたので身構えてしまう。でもそれほどでもなかった。


次の日には大学のクラブの後輩らをうちに呼んで遊んだ。

お昼は学生の時から行っている中華料理店で食べたのだが、

お会計の時に彼が大きな声で「ごちそうさまでした」と言うと、

店主のおっちゃんが厨房から顔をだし、「今日は奥さんも一緒で」と言った。

「そう、ほら」と、彼がわたしのお腹をぽんぽんとたたいてみせる。

店のおばちゃんたちも「いつですか?」ときいてくれたりして、

照れくさかったけど、店の人たちが嬉しそうにしてくれるのが嬉しかった。


この日は胎動があまりなかった。

1日が終わるころに「今日あんまり動いてない」と言うと、

彼がとても心配した。

今朝セックス激しくしすぎたかなあ、などと言う。出血もないしそれは大丈夫だと思うんだけど。

でも途中で昼寝した時に、なんかお腹がすごく痛かったような気もする。

どうしたんだろうと思っていたのだが、

お客さんがみんな帰って二人でベッドに横になると、急にぽこぽこと動き出した。

彼もお腹に手を当てて、ほっとしたようだった。

親しい友達や後輩とはいえ、お客さんがいるとわたし自身がやっぱりどこか緊張していて、

それが赤んぼにも伝わっていたのかもしれない。

わたしがリラックスすると赤んぼも急に元気になったみたいで、

うってかわって「ぽこん、ぽこん」と激しかったので、

なんだか可笑しくて「ふふ」と笑ってしまった。


週明け、母と百貨店へ。

新しい服が欲しいな、と思うのだが、お腹が大きいと着れなさそうなものも多くて、なかなか買えない。

母が秋用の服を買った店で、わたしもゆったりしたきれいなワンピースを勧めてもらったのだが、1万7千円もする。プーとしてはちょっと手が出ない(笑)。

かといってあまりマタニティ服ばかり買ってももったいないなと思う。難しいところ。

お昼にうどん屋さんに入る。

食べていたら、歩きはじめくらいの小さい男の子がそばにやってきた。

もう帰るところだったようで、お母さんに手をひかれていったが、こちらに手を振ってくれて、しかも「ふにゃっ」と笑ってくれて、めちゃくちゃ可愛かった。

と、その瞬間、なぜか涙がぼろぼろ出てしまった。

お腹の子が男の子だときいたばかりだったから、重なったのだろうけど……自分でもびっくりした。

母ももらい泣きしてしまい(笑)、「私たち変な人やね」と二人で笑いながら涙を拭いた。

ベビー用品の売り場も見て回る。可愛いのがいっぱい。靴や靴下なんてほんとにちっちゃくって、見てるとたまらなくなる(笑)。

真冬生まれになるので、ケープやベストやふわっとしたスリーパーに目が行くが、要るものをリスト化しておかないと、余計なものまで買いそうだ(笑)。

彼の体のことが、最近、いろいろと心配。


まず、帯状疱疹・・・でもこれは治ってきている。

しばらく病院でもらった塗り薬を風呂上りに塗っていたが、発疹はもうほとんど引っ込んで、跡が残るだけの感じになっている。かゆみもなくなってきたとのことで、薬はやめた。

神経の痛みはまだ少し続くかもしれないが、それは仕方のないことらしい。


2つめ。夜、彼が寝入ると、足がビクビクと痙攣することがよくある。

けっこうずっと前からあるが、最近ひどい気がしてとても気になる。

ベッドが揺れるほど足が動いてるのに、彼は目が覚めないし、自覚がない。

これ、ネットで調べてみた限りでは、睡眠障害の一種ではないかと思われる。

足が動いてるんだから当然深く眠れてはいないはずなのだ。

そういえば「最近すごく眠い」って言ってるし…。

薬で治るという情報もあるので、病院に行かせるべきだろうかと思う。


3つめ。

彼、最近、抜け毛を気にしている。

おでこが広くなった気がするというのだ。

いつも一緒にいるせいかわたしはよくわからなくて、「そうかなあ?」と思うのだが、彼はとても気になってしまうらしい。

調べてみると、汗っかきな人は夏場になると抜けやすい、ということはあるらしかった。

汗で頭皮の状態が悪くなるから。

彼はいつも行くヘアサロンの店長さんに教わって、頭皮ケアを考え始めた。

で、まずそれ用のシャンプーを買おうと思ったらしいが、これがすごく高い。

もし効果がなかったりしたら泣けるレベル。

なのでとりあえず、わたしの石鹸シャンプーを一緒に使い始めた。普通のシャンプーよりは頭皮に良いはずだが、さて、どうなるか。

あとはまあ、髪によさそうな食事作りでも考えようかな(笑)。


最後に……

太った!! こと(笑)。

これも、彼が自分で言いだした。

わたしはやっぱり「そうかなあ?」だったのだが、体重計を見てみてびっくり。

確かに太ってる。出会ってから今まででMAXの数値じゃないだろうか。

お腹は学生の時から出てるし(笑)、見た目ではわからなかった。

就職してから運動量が減ってるからだろう。

あと、会社帰りに間食してるみたいで、それも良くなさそうだ。

(でもこれはきっと元をただせば仕事のストレスが原因なんだろうと思う。わたしも会社勤めの時分、同じように帰り道で必ずパンなどを買って食べていた時期があった。)

これも日々の食事でなんとかサポートしよう、と思う。

運動は・・・ダンス、できるときは一緒にやってるけど、これからも続けていく、しかないか。今から新しいことを始めるよりは楽だろう。自主練でもするか。

妊娠中期で、わたしも体重管理をしなきゃいけないので、ちょうどいいかも。

一旦胎動に気づくと、それからはけっこう頻繁に感じるようになった。

寝る前や朝起きてすぐがわりと活発な気がする。

動きを感じると、なんだか、それだけでなごむ。

彼も、朝が弱くて寝起きは無愛想になる人だが、わたしが「動いてるよ」と言うと、急に笑顔になってお腹に手をのばしてくる。

赤んぼってすごい。


彼、帯状疱疹にかかってしまった。

身体の左側に赤い発疹と神経の痛みがある。

原因は疲労やストレスによる免疫力の低下だとか。

仕事が忙しかったからだろうな…と思うが、わたしにも責任の一端はあるのかもしれない。

あんまりわがまま言わないようにしなきゃ(笑)

幸い軽く済んだようで、薬を使えばすぐ治るそうだが、

家に妊婦がいるのなら、念のためあまり接触はしないようにとお医者さんに言われてしまった。

タオルの共用もダメとか。発疹が背中にあるのでわたしが薬を塗ってあげるのだけど、塗った後はすぐ手を洗わなきゃいけないとか。

そんなのいいけど、スキンシップできないのだけはつらい…。


わたしのほうはというと、体調は良くて、週1でダンスしたりもしてるのだが、

お腹(子宮)がどんどん大きくなるので、

・パンツは前のボタンをあけないとはけない

・トイレが近くなった(←これは地味にめんどくさい)

・食事があまり入らない

・腰が痛い

といった変化が出てきている。

あと、ものすごーく、眠い(笑)。いくらでも眠れる。


情緒不安定、でもあるのだろうか。

前にもあったけど、また夜中に寂しくて泣いてしまう。

寝たい彼は、わたしが黙って泣き出すと、「まためんどくさいことになった」「また寝る時間が減る」と思うのだろう、こわいくらいカリカリしだす。

わたしも、どうしてこんなにさびしいのかわからないし、彼が怒るので悲しいし、明日も朝から仕事のある彼をわずらわせるのをわかっていて我慢できない自分が悪いのかと思って、余計に心がぐしゃぐしゃになる。

この寂しさを彼に何とかしてほしいと思っているのは確かだが、具体的にどうしてほしいのか、自分でもよくわからない。

自分と一緒にずっと起きていてほしいのか。体に触れてほしいのか。会話してほしいのか。セックスしてほしいのか。

彼に「俺はどうしたらいいの」と言われても何も答えられない。

しかしわたしが葛藤して泣けば泣くほど、彼は眠れないしどうしたらいいかわからないしで余計にカリカリして、険悪になっていく。

わたしが求めるものは遠ざかる一方なのだった。


朝になると彼は軟化する。

お弁当を作り終え、ソファで目を閉じて休憩しているわたしのところに来て、

キスして、お腹と頭を撫でてくれる。

そして「夜もう少しサキとの時間確保するように考えるわ」などと言う。

わたしが泣いて求めていたのはそれらのことだったのか、わからないけど、

優しくされて涙が出てしまう。

お腹、だいぶ出てきた。

胸も大きくなってて、横から見ると見事に教科書通りの妊婦体型。笑える。


他にもいろいろと体の変化が起こっている。

乳首から何か白いカスみたいなのがぽろぽろ出る。

身体が母乳を出す準備をしている、らしい。彼はこれを見ると吸い出したくなるらしく、強く吸ってはわたしに「痛い!!」とはねつけられている(笑)。彼って、前からだけど、わたしの体に一本だけ独立して生えてる毛とか、ほくろとか、あと足の裏のたこ?とか、ああいうのを見つけると「うわー取りたい~」と目を輝かせ、実際につまんでひっぱってみたりする。わたし、これされるとゾッとしてものすごーく頭にくるので、やめてほしいのだが…。

というか、最近、彼に抜かれるまでもなく抜け毛が多い。ちょっと髪を手で梳いただけで数本抜ける。シャンプーするとごっそり抜ける。髪が長いから余計大量に見える。妊娠中や産後には普通に起こることらしいが、このままではハゲそうで怖い。

あと、下腹が痛い。寝起きや、お腹に力が入ってる(と思われる)ときに痛い。子宮がどんどん大きくなってるからだと思うが。わたしがあんまり痛い痛い言うので、彼が心配している。


身体が何かとめまぐるしく変化する中で、胎動だけはなかなか起こらず、

彼と二人で「まだかなー」と気にしていたのだが、

6カ月に入った日、ついに初めて胎動を感じた。

朝、うっすら目覚めてうつらうつらしてるときに、お腹が「くにゅ」みたいな感じで動いたのだ。

「ん?」と思って、まだ半分寝ぼけた状態ながらもなんとなくお腹に意識を持っていってみると、

やっぱり何やら動いている。「くにゅ」みたいな「ぺこん」みたいな…。

それでも半信半疑で、まだ横になっていたら、今度は結構はっきり「ぽこん!」と手ごたえ(腹ごたえ?)。思わず「おお。。。」と声をだし、笑ってしまった。

それで、隣で眠っていた彼が「んー?」と寝返りを打ってこちらを見た。

「動いてるよー」

わたしが言うと、急にぱっと目が覚めたようになって、眠そうな顔が笑顔になり(笑)、すぐにお腹に手を当てた。

「・・・あ!くにゅって動いた!」

彼の嬉しそうな顔が嬉しかった。

「でかした」とか「よくやった」とかなんかそんなことを言われた(笑)。いや、わたしの手柄というわけでは…(汗)。

でもやっぱり、動いてくれるとホッとする。ちゃんと元気でいるのだと。


さて、会社を辞めて専業主婦状態になったわけだが、

幸い体調が良いので、保険の書類のことで病院に出向いたり、スーパーに買い物に行ったりと、

ちょくちょく外出している。

あとは普通に家事をしたり、調べ物をしたり。

疲れたら少し横になる。そのまま寝ちゃうこともあるが(妊婦は眠い)。

今までできなかったぶん、ごはんやお弁当づくりも楽しんでやっている。

けっこう充実していると思う。

彼も、帰宅したら晩ごはんができている、というのは嬉しいみたい。
共働きも楽しかったし自分たちに合ってると思ったけど、仕事/家事をはっきり役割分担するという昔ながらのスタイルにも、やはりいいところはあるんだな。

まあ、落ち着いたらまた仕事はしたいと思っているし、彼は今も家のことを手伝ってはくれるのだけど。



お盆の最後には、塾講師をしていた頃の仲間たちとの飲み会があった。

ここ2カ月あまり、仕事以外は旦那か親が常に一緒の箱入り状態(笑)だったので、

久しぶりの単独行動。緊張したけど、体調も精神的にも大丈夫だった。

お酒飲めなくて残念だけど、楽しかった。

妊娠の報告をして、みんなから大きな拍手をもらってしまった。くすぐったい。

かつての上司は特に喜んでくれて、何度もわたしのお腹をなでた。

みんなに「そろそろセクハラですよ」と笑われるくらい(笑)。


お盆が明けて、残り数日の出勤をすませ、会社を退職した。

再復帰から間がなくて急だったのに、お餞別をもらったり小さな送別会を開いてもらったりした。ありがたい。


身体の調子がとてもよくなってきた。

今考えると、前に一度仕事に復帰したときは、まだつわりが残っていた。

そのあと出血して、「胎盤がまだ出来上がってない」と言われたので、

ひょっとすると胎盤の完成≒つわり終了≒安定期 なのだろうか、と思う。

一人で外出しても大丈夫だし、久々にダンスにも行けた。

その帰りにお肉が食べたくなって、急きょ彼とふたりで焼肉を食べに行ったりした。

今はなんだか、身体がたんぱく質とビタミンを欲してる感じ。

いつもより野菜がおいしく感じる。

逆に体が何となく拒んでいるのは、油脂分。


焼肉の次の日は、わたしの誕生日。

彼はなんだかとてもいろんなものをくれた。

可愛いスニーカー、ノートとノートカバー、希釈用のハーブティ。

あと、PSP(笑)。一緒にモンハンがやりたいらしい。


その日は日曜日で、戌の日のお参りにも行った。

ほんとうの戌の日は平日だったので、自分の母親と二人で行こうかと思っていたのだが、

彼が「初めての子だしやっぱり一緒に行きたい」と言ってくれたので、日をずらすことにしたのだ。

せっかく日曜にしたので、父親にも来てもらった。

神社は、戌の日当日だったら混んでいただろうが、そうではないので空いていて、

貸切みたいな状態で祈祷をしてもらえた。

結婚式も神前だったので、そのときのことをふと思い出したりした。ちょうど1年くらい前だ。なんか不思議。

さらしの腹帯やお札、お守りなどをもらった。

4人で昼ごはんを食べて帰る。

戌の日の夜になってから帯を巻いてみたが、

身体に合わせてきれいに巻くのは難しいし、季節が季節なので暑い!(笑)

ただでさえ妊娠してから体が熱いのになあ…。

妊娠が判明する少し前の回想だが、

セックス中に不思議な体験をした。


いや、それほど大層なものではないか…。

とても気持ちの良いセックスで、わたしは彼の下にいて――たぶんいったのだと思う。


そのとき、体が震えて、変な声を出すのを止められなくなった。

そして、体の中で何かが押し寄せて詰まるような感じがして、

その詰まったものを「外に出したい」ともがくような感覚になった。


たとえが難しいが・・・

風船に空気がいっぱい入って、割れる寸前の苦しさ、みたいな…。


そしてわたしは”割れた”。

堤防が決壊したかのように涙があふれたのだった。

ふっと力が抜け、「ああ、泣きたかったんだ」とわかった。

涙を流したくて、でも、涙を出すための信号の伝達がなかなかこなくて、そのために苦しかったのだとわかった。

変な感じだった。


ぼろぼろと涙を流すわたしを見て、彼が「泣いてる」と頭をなでてくれた。

彼もほぼ同時にいったんだったかな。


もしかしてあのとき妊娠したのだろうか?

わからない。排卵時期(推定)よりは少しあとだったような気もする。

なんにしても、体験したことのない、不思議な感覚だった。

たぶんこのことはずっと忘れないだろうと思う。


切迫流産で自宅安静の日々。

動かない生活になると、少し戻ってきていた体力がまた無くなってしまう。

精神的にも――他人ばかりのところに出かけるのが怖くなってしまう。

(安静中も電話やメールやネットを通じて知人とコミュニケーションはとるのだが、直接人の目に触れ、人の姿を見る、まして会話するということとは、消耗の度合いが全然違うようだ)

人間は(少なくともわたしは)外に出なくなるとこんなにもダメになるのだと身を以て知った。

出かけてみても、体力の低下とストレスのせいで、すぐにへばってしまう。

そしてそれを見た彼にまた心配させてしまい、「やっぱりまだ外出させるべきじゃなかった・・・」と思わせてしまうのだった。

病院で処方された2種類の薬は、1日3回欠かさず飲むようにしていたが、

張り止めの薬の副作用がすごかった。

自分の心臓の音が耳に響くほどの動悸と、マウスやペンやケータイを使った時に感じる手の震え。

あんまりすごいので、彼の体や手に胸を押し付けて、「ね、ドクドクすごいでしょ」と言ったりしていた(笑)。

妊娠前はまったくの健康体で、薬負けみたいなのもほとんど経験のないわたしにとっては、

これらの症状は怖かった。

でも、処方してもらう時に副作用の説明はきちんと受けていたし、

ネットで調べたらとてもよくある副作用らしかったので、「こういうもんなんだ」と思い、薬を飲んだらしばらくは横になるようにしてやりすごした。

張り止めの薬と一緒に飲んでいた出血止めの薬が先に無くなって、

張り止め1種類だけ飲むころになると、動悸は少しマシになった。

薬をいっぺんに2種飲まなくなったから負担が軽くなったのか、もしくは身体が慣れたのかもしれない。

これも妊娠して感じたことだが、

この身に起こる大抵のことは「わたしだけ」ではないのだ。

妊娠してから、「お腹下し気味」「寝る前に息苦しい」「耳が詰まる」そして今回の「薬で動悸」など、

いわゆるマイナートラブル的なことはみんな、

ちょっと検索してみれば、同じような症状の人・事例が必ず見つかった。

「こんなんなるのは、わたしだけ」なんてことは、(ほぼ)ない。だから変に不安がらなくてもいいし、自分で自分を特別扱いしちゃいけない、と思う。


わたしの安静中に、彼がまた出張に行かなければいけなくなった。3日間ほど。

基本的に外出できないわたしを一人にするのはダメだと思ったらしい彼は、わたしを実家に帰すことにした。

彼の出発前日の夜に車で実家に送り届けてもらい、出張が終わったら迎えに来てもらう。

離ればなれの3日間はさびしかったが、自分の実家なのでのんびりできた。

彼は出張先から何度も電話やメールをくれた。迎えに来てくれた時には、親の前なのにはばからず「ぎゅっ」としてくれて、照れくさいけど嬉しかった。


切迫流産でひやひやしても、経過は順調ではあるらしい。

仰向けに寝たり、背筋をしっかりのばしたりするとほとんどわからないが、

座っているとお腹がぷっくりと目立つようになってきた。

出血も止まった。

ただ、夢見が悪い。へヴィーな夢ばかり。暑いからだろうか。

赤んぼは2回ほど夢に出てきたが、どっちも男の子だった。男の子なのかなあ。

そして2回目の妊婦健診。

前回の血液検査の結果を聞く。

一般的な項目に加えて、妊娠中にかかるとまずい病気(風疹など)に対して免疫ができているかも調べるのだが、

「問題なし。かかっておかなければいけない病気は全部かかってあるし、かかっちゃいけない病気は1つもかかっていない」そうだ。

なんと優秀な。(笑)

体重は前回から約2キロ増えた。つわりで減る前の体重にはまだ戻りきらないが、こちらも順調だ。

そしてエコー。彼と一緒に見る。

「スマートなかただからもう動いているのわかるかな」と先生が言う。

「いや、まだ…」とわたし。いわゆる胎動はまだ感じたことがない。妊婦の体が痩せていると胎動がわかりやすいのだろうか?初めて聞いたが。

もう画面に入りきらないほど大きくなり、確かにもぞもぞと動いていた。動いてくれるとなんか嬉しい。

しっかりとヒトの形を成し、手足を折りたたんでいるのがわかった。脚の骨や胃が見えた。

性別はまだわからなかった。

週数通りの標準的な大きさだそうだ。200gくらいだとか。身長は言ってくれなかったが、この時期の標準だとすれば、たぶん20センチくらいだと思われる。

そして切迫流産のほうはもう心配ないみたい。よかった。


その夜、妊娠して初めて飲み会に出席。

彼と一緒だからまだ安心だったけれど、電車に乗るのはちょっと緊張した。でも彼が常に体調を気遣ってくれて、席に座れるようにしてくれたのでよかった。

今回は大学のクラブの集まり。久しぶりだ。

ビール飲めなくてくやしかったけど(笑)、みんなの顔を見れてよかった。

一応クラブ創設30周年の記念パーティーという名目だったので、

わたしや彼が全然知らないような、かなり古いOBさんたちも来ていた。

その中には、奥さんと一緒に不妊治療中・妊活中だという人が複数いた。マタニティーマークを付けてきてしまって、悪いことしたかなと思う。その人たちに言われて、自然に授かるというのが本当に幸福なことだと知る。


ところで、わたしの周りはちょっとしたベビーブーム。

「妊娠しました」と報告したところ、「実は私も」ときた知人が3人も。

親戚でも3人ほどご懐妊。

「少子化?ほんとに?」って感じ。(笑)


15週、久々にフルで(月~土)出勤。早めにあがらせてはもらっているが。

朝の通勤がつらいのと(バスで気分悪くなる&徒歩で息切れする)、

夕方必ず熱っぽくなる(ので、熱さましジェルを持参)のをのぞけば、

まあまあ体も順調。

ごはんもなるべく作ろうと思っているしそうしているのだが、

週末に近づくにつれて疲れがたまるのか、帰宅するとぐったりしてしまうようになって、

そういうときは彼が用意してくれた。


日曜は、結婚記念日だった。

1周年。早いもんだなあ。

わたしがあまり歩き回れないので、彼がプランを迷っていた。

とりあえず、ごはんメインで、ちょっとぶらつく程度のデート。

1周年ということで、「何か記念の物を買おう」と彼は言っていたが、

何がいいのかわからなくて、結局この日は選べなかった。

たとえば揃いのアクセサリー…といっても既に結婚指輪があるし、ペンダントなんか彼はつけないし、

わたしは手首に何かつけるのが少し苦手なので、ブレスとか時計もちょっと…て感じだし。

じゃあ何か家に置ける、ぬいぐるみとか置物?とかも考えたが、ピンとこない。

というか、わたしは別になくてもいいんだけど(笑)。

デートして、一緒にごはんを食べるだけで、じゅうぶん。

ごはんは、創作料理っぽいおしゃれな店の、コース。

わたしは店に入る前あたりでちょっと具合が悪くなっていたが、けっこう食べれた。

彼が多めに食べてくれるので、合わせてちょうどいいくらい。

おいしかった。とてもしあわせ。


しかし、次の週に入った月曜日、つわりがぶり返したみたいに調子が悪かった。

ちゃんと仕事には行ったけど、久々に、トイレで吐いてしまう。

昨日はちゃんと食べたし眠ったのになあ…と首をかしげた。

そういえば2~3日前から茶色のおりものが出ていた。おりものの量自体も最近多くて、下着がぬれて気持ち悪いのでナプキンを使ったりしていた。

次の日の明け方にトイレに行った時も茶色がべっとり出てたので、彼に相談する。

「不安なら病院に聞いてみたら?」というようなことを言われた。もっともだ。

「もし病院に行かなきゃいけないなら、一緒に行くよ」とも言ってくれた。


朝になって病院に電話して聞いてみると、「来てもらったほうがいいと思います」とのこと。

「病院行くことになった」と彼に連絡すると、本当に会社から戻ってきてくれた。

同僚に奥さんが切迫流産で「絶対安静」になったことのある人がいて、とても心配してくれたのだそうだ。

(その人は先日無事に出産した)

彼もあわてていたので「嫁の容体が急変」みたいなすごい言い方をしてしまったらしく(笑)、

「早く帰って奥さんについててあげなさい」とみんなに言われて帰ってきたのだった。

死にかけてるみたい、わたし(笑)。

病院では内診を受け、やはり出血が認められた。胎盤がまだ完成しきってなくて、出血しやすい状態かも、と言われる。

で、「安静に」との指示。

布団を干すとか、重いものを持つとか、歩き回るとか、そういうのはダメだそうだ。

2週間、仕事も休んでくださいとのこと。出血を止める薬とお腹の張り止めを処方された。

お医者さんが言うには「出口はしっかりしてるから大丈夫」で、今すぐどうこうなるような危険な状態ではないのだが、診断書では「切迫流産」。ちょっとショッキングな感じ。

上司に知らせるとき、「切迫流産で・・・」と言ったら、流産したと思ったみたいで慰められかけて焦った(笑)。

「お腹の子は今のところ大丈夫なんですけど、流産の恐れありということです」と説明しなおした。

やっとつわりが落ち着いて仕事に復帰したところだったし、もうすぐ退職でもあるので、仕事に行きたい気持ちは強かったし、上司に言いにくいなと思って迷ったのだが、

決して無理をしていないつもりでもやはり仕事に行きだしてから出血したのだし、本当に流産してから後悔しても遅いと思い直して、彼からも強めにそれは言われたので、素直に休みをもらうことにした。

上司も「大事にしなさい」と言ってくれた。

つわりがおさまってきたからって調子に乗って動きすぎちゃったところもあるのかもしれない。反省。

セックスも、してたけど、しばらくやめておこう。

翌日もまた吐いたりして、つわりがぶり返しちゃったような感じも続くので、

「こりゃ、赤んぼが『まだ動くな!』って言ってるんだな」と思うことにする。

安定期に入ったのに、まだまだ安定しないなあ(笑)。

14週になると、お腹がちょっとぽっこりしてきた。食べすぎたときみたいな感じだが(笑)、下腹から丸くふくらんでいる。彼が「おっきなってる~」とうれしがってよく撫でてくれる。胸もボリュームアップしてて、やはりよく触ってくるけど、こちらは嬉しいというより物珍しいという感じに見える(笑)。

だいぶごはんが食べられるようになり、減っていた体重も少し戻ってきた。いい感じ。

簡単なものだけだが、晩ごはんも作れるようになってきた。今まで気持ち悪くなるのが怖くて行けなかった外食にも、行けるようになってきた。食べるスピードはめちゃくちゃ遅いし、まだ一人前を食べきることはできなくて彼に手伝ってもらうけど、でも、かなりの進歩。

疲れさえしなければ気分が悪くなることも少ないし、そういえばここしばらく吐いていない。

やっぱり、「ごはんが食べられる」というのは元気のバロメーターというか、身体にとって大きいことなんだなあ。

仕事にも復帰した。あまりにも長く休んでいたので緊張したが、朝の通勤以外は身体もそれほどつらくなかったし、みんな優しかった。仕事の状況も忙しくなく、ゆったり作業ができた。

しかし彼のほうは仕事の大きなヤマを控えて忙しく、帰ってきてからはゲームばかりしてることが多くなった。家のことは手伝ってくれるし普通に優しくはしてくれるが、どこかわたしに無関心みたいな感じがあった。ベッドに横になった時に、わたしからキスしたり触ったりするのだが、彼は唇で応じたり気持ちよさそうにしてくれたりはしても、横になった姿勢から動くことはなく、能動的にわたしに接触してくる気配がないのだった。

疲れているからだとわかっているし、少なくとも冷たくされているわけではないのに、

わたしは無性にさびしかった。

「なんか、寂しい」と言ってみたが、彼は「俺はどうすればいいの?」と呆れたように言う。

夜中に泣いて、眠りたい彼をいらだたせた。

妊娠中だから情緒不安定なのか、もともとこんな性格だったか、なんだか今はもうよくわからない。

ある意味、つわりがおさまってきたから余計なことを気にする余裕がでてきたのかとも思う。